本多静六「私の生活流儀」を関西弁に訳してみた

本多静六「私の生活流儀」を関西弁に訳してみた

 

はじめに

「私の生活流儀」なんてえらそうに言うてはみてんけど、いうて大したもんちゃうんや。中身は大したもんちゃうからいっぺん読んで、へぇー言うて、かるーくやってみてもろたらわしも満足や。

生活白書16項目

わしは年くってから元気すぎて医者に不思議や研究資料にしたいとまで言わしめたんや。せやからその生活における16項目を教えたいと思う。

  1. お天道様は見通しや、正直に働いとったら人間は幸せになれるんやという教えをちっちゃい頃から教え込まれてきた
  2. 少年時代は、一日中外で遊んどったなぁ、日光浴びて新鮮な空気の中でおるのが大事やなぁ
  3. 小学校に入っての授業なんてのも遊びの延長てなもんで、のんきに過ごしとった。
  4. 11歳で父親なくしてもーてな、そこからは貧乏生活や。借金返済のために水行塩菜いうてな、毎日冷水浴やって塩だけの朝食を5年続けたんや。これで貧乏と粗食に慣れたんや、そやけどこのときにしこたま勉強して偉くなったろうと決めたんや。
  5. 12,3歳から勉強のほかに家業もやるようになった。草刈りやら馬糞さらいやらを登校前と下校後夜の9時までやっとった。もちろんその後それからの勉強や。
  6. 15歳からは農繁期には百姓やって、農閑期にはお勉強と働学併進というわけや。
  7. 19歳に山林学校にビリっけつで入学したわ。せやけど第一期試験には落第してもーてな。幾何と代数がどーしてもできんかったなぁ。思い詰めて古井戸に投身自殺したんやけど死にきれんくてな。どうせ死ねへんのやったら死ぬ気で勉強したろか思うて、勉強したら、二学期に最優等の成績とれたんや。ここで一所懸命努力することの大事さ「やればできる」っちゅう自信を持ったな。
  8. 青年時代から壮年時代にかけては、仕事を職業道楽にしてやな、余暇には学問と職務に関連した探検やら視察旅行によお行った。一方、1/4天引き貯金1日1項の著述執筆を続けた、これは生活に勤勉と節約と規律の良習をわしの生活に加えてくれた。
  9. 中年からは物質的欲望を捨てて、簡易生活に安んずるようにつとめた。人生即努力努力即幸福っちゅうこっちゃ。これで努力に心から楽しみを得れるよおなった。
  10. 人生は一場の大芝居っちゅう言葉があってな、苦楽いろいろあるけどユーモアで包んでいきたいなぁ。
  11. 頭脳は科学的にどこまでも発達させて、身体は野獣のごとく強健にするっちゅう理念を80過ぎても持っとくこっちゃな。
  12. ちょっとした病気くらいは気の持ちようで、気持ち持っとったら病気が引き下がるんや。わしの場合、大抵の病気は自然放置働き療法で直してまうんや。飯なんてのも間食なんてのはせずに3食だけを腹八分で食うんや。
  13. わしはちっちゃい頃から菜食主義でな、ホルモン漬けっちゅう新鮮な葉菜類の塩漬をよう食った
  14. 老人なるとなぁ、口先ではカッコつけるけど、中身は大したことなくて欲深の名誉好きになるんや、60歳以降はわしもこれに気づいて気をつけたな。
  15. 死ぬ前にわしは量子学を学んでな、宇宙の万物は一つとして完全なものはなく、確定するものはないことを知ったんや。いつかはわしの肉体も滅びるやろけど、思想と事業はずっと生き残ると信じて死ぬまで働き通すことを決意したで。
  16. 老人なっても、決して隠居せんと死ぬまで働き通すこっちゃな

中年以降の健康法の10則

  1. 食べもんはゆっくり噛んで食べや
  2. 飲食性っちゅうのがあるけど、なんでも八分にしとくんや。
  3. 食べた後は30分くらいはゆっくりすんのがええな。寝てもええで。
  4. たまには大の字なって思っきり手足伸ばしや
  5. 冷水浴ええで、続けてみ
  6. 宴会やら飲み会なんてのはそんなでんでええねや。平和な家庭生活をたのしみや。
  7. 夜8時から10時の2時間はウォーキングしてみ。雨降っても傘さしてな。
  8. 花卉園芸っちゅうのはええもんやで。
  9. 自分の身の回りのことはなんでも自分ですんねや。
  10. 今自分が置かれてる境遇は自分には過分なもんやとおもて、感謝しとくんやで。間違っても不平不満なんて抱いたらアカン。たえず気持ちよお働き続けや。

セックスの頻度

結婚してすぐは、そらまあ盛んやろけど、20-30代は月8回までやなぁ。40-50代は月6回まで、60-70代は月4回まで、80-90代は月2,3回までがちょうどええんちゃうか?わしの研究に寄るとなにごとも不自然な生活は健康と長寿の目的に反するんや。不自然に促進するのも抑制するのもアカン、せやからわしは老年の再婚には反対せえへん。

本田式買い物法

わしの家では、服なんてのはいつもつもり買いのつもり貯金っちゅうのをやってきた。これはやな、ウィンドウショッピングするやろ?気に入ったもんがあったらいつでも買ったると言うてきた。ほんでな、買ったるいうけど、その場で買って持ち帰るんやのうて、買ったつもりの気分にさせんねや。品物はその店に一旦そのまま預けとくやろ?ほんで代金同額を銀行に預けさせとくんや。そしたらな、いつか欲しかったモンもいらんなってんのや。そうなってみいや、びっくりすることに貯金だけはちゃーんと残ってるっちゅう仕組みや。植木鉢の一つも気分で買うとやな、持ち帰って枯らしてしまうより、店に預けとけば水も忘れずやってくれるし、枯葉もいちいち除いてくれんねや、見たけりゃいつでもここに散歩しにきたらええがな。

 

ジャン憲法

夫婦間、家族間で意見が一致せえへんことあるやろ?2度目までは意見主張してええんやけど、3度目なったらいつでもジャンケンポンで決めんねや。これこそジャン憲法やで。負けたら勝った方に従わなアカンねや。まあそもそも家庭内のことなんてだいたいがどっちに決まってもええもんやからこういうのがちょうどええんやな。

 

手帳の大きなハタラキ

わしは、手帳を学生時代からいっつも懐に忍ばせとった。そんでな、見たこと聞いたこと、思いついたこと、なんでも書き込んでんねや。わしはこういう断片的な知識の集積が人生にはめっちゃ大事やと思うてんねん。名案妙策っちゅうのも、えてしてこういう閃きからくんねん。

 

エキス勉強法と行読法

その日あった授業の内容やら参考書あるやろ。まずそれを死ぬ気で熟読して覚えなアカンところに鉛筆でしるし付けんねん。そんでその要点だけを別の紙に記入するやろ。これがエキス抽出や。

ほんでそれを懐に入れてやな、朝晩の外出2時間のときに歩行しながらそれを頭に入れてく、すなわち行読法っちゅうわけや。

これが勉強にはよお効いたもんや。

安全と有利を兼ねた法

わしは株式投資もよおやった。いわゆる「十割益半分手放し」と「二割上げ利食い」っちゅうやつや。まあ書いて字のごとくやねんけどな、秘訣はどっちゃにせよ、自己資金できるだけ用意してそのなかで割安に買って割高に売るっちゅうだけのこっちゃ。平凡やろ。せやのに失敗するやつがこの世には多い。それはな株屋のいいなりに動いて自主的に動かんからや。自分の流儀っちゅうもんを持った上で辛抱強く時節到来を待つのが大事なんや。

 

まとめ

なんやかんや言うたけど、「好況時代には思い切った勤倹貯蓄を、不況時代には思い切った投資を」と説いてるのも、真夏に冬の仕度を、厳寒に夏の準備をっちゅうこっちゃな。